目のアレルギー(冬から春にかけてのかゆみ)
冬から春にかけて、目がかゆいタイプ
ある決まった物質(スギ花粉、ヒノキ花粉など)が体内に侵入すると、それを排除しようとして身体が敏感に反応することをアレルギーといい、さらに過剰に反応しやすい人をアレルギー体質をいいます。花粉症はアレルギーが原因で起こる代表的な病気の1つで、花粉に対して敏感に反応し、症状が起こります。
なお、アレルギーの原因となっている花粉やダニなどの物質はアレルゲン(抗原)と呼ばれます。
花粉が原因で起こる目のアレルギーを季節性アレルギー性結膜炎(花粉性結膜炎)と呼び、日本ではスギ花粉、ヒノキ花粉が主な原因です。患者数は男性よりも女性が多く、年齢では男性では10代、女性では10~40代に多く見られますが、最近では低年齢層や高年齢層でも増えてきています。
【花粉症患者が増えたと考えられている主な理由】
- スギ花粉飛散量の増加
- 地球温暖化(花粉飛散量は前年の日射量や気温に相関あり)
- 大気汚染
- 食生活の欧米化
- 住環境の変化
- 寄生虫感染の減少
【花粉が多く飛散しやすい時期】
- 晴れ、またはくもりの日
- 最高気温が高い日
- 湿度が低い日
- やや強い風が吹き、その後北風に変化したとき
- 雨の日の翌日
【花粉症の症状】
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血、涙が出る
- 頭:頭痛、頭が重たい、ぼぉ~っとする
- 耳:かゆみ、聴こえにくい
- 口:乾く、味覚障害、口内炎
- 皮膚:顔や首が赤くなる、かゆみ
- 胃腸:食欲低下、胃もたれ、下痢
- その他:全身の倦怠感、発熱
【目がかゆくなる仕組み】
結膜や粘膜には肥満細胞といって、アレルギーを引き起こす細胞があります。花粉が目や鼻、口から侵入すると、体内から花粉を取り除くために抗体が作られます。
そこに再び花粉が侵入すると、肥満細胞からヒスタミンなどの科学伝達物質が出て目がかゆくなります。なお、目と鼻は神経を一部共有しているため、鼻から入った花粉によっても目はかゆくなります。
目のアレルギー(夏から秋にかけてのかゆみ)
夏から秋にかけて、目がかゆいタイプ
スギ・ヒノキ以外にも、夏から秋にかけて飛ぶ花粉がありますので注意が必要です。
※花粉の飛散時期は地域によって差があります。
オオアワガエリ(イネ科)
ヨーロッパから古くより輸入され、涼しい高原に良く見られる。スキー場のゲレンデにも利用される。
ブタクサ(キク科)
日本で最初の花粉症の原因となる植物。北アメリカから日本に渡ってきた帰化植物で、今では全国に広まったキク科の1年草。
オオブタクサ(キク科)
クワモドキとも呼ばれる。北アメリカから日本に渡ってきた帰化植物で、大きな河川に沿って内陸まで分布を広げている。
ヨモギ(キク)
草もちの材料や、お灸のモグサとして使用される日本で最も一般的なキク科の多年草。ブタクサ花粉と共通抗原を持つことが知られる。
カナグムラ(クワ科)
日本古来より自生し、他の植物などに絡みついて、つるのように繁殖する。
目のアレルギー(1年中のかゆみ)
1年中いつも目がかゆいタイプ
アレルギー性結膜炎には「季節性」と「通年性」があります。
「季節性アレルギー性結膜炎」
⇒花粉が飛ぶ季節だけ目がかゆい
「通年性アレルギー性結膜炎」
⇒1年中、目がかゆいなどの症状がある
アレルギー性結膜炎の三大症状は「目のかゆみ」「充血」「涙が出る」ですが、通年性アレルギー性結膜炎の症状は、軽症の場合「目の疲労感」「乾燥感」などで、重症になると「ゴロゴロする」などの異物感、「めやにが出る(眼脂)」、「目がかゆい」などの症状が目だってきます。
症状は1年中を通して見られますが、季節や気候、体調の影響によってもよくなったり悪くなったりします。
【主な原因】
通年性アレルギー性結膜炎は、埃などの中に存在しているハウスダストやダニが、主にアレルゲン(抗原)となって症状を引き起こします。
アレルゲンとなるダニはチリダニという種類(ヤケヒョウダニ、コナヒョウダニ)で、人を刺すことはありませんが、生きていても死んでいても、そのフン(排泄物)でもアレルゲンになります。
犬や猫の場合では毛やフケ、またカビもアレルゲンになる場合があります。
【原因となるアレルゲンを見つける】
通年性アレルギー性結膜炎の場合、自分の体にアレルギー反応を起こすアレルゲンを特定し、そのアレルゲンを除去(回避)することが大切です。原因となるアレルゲンは人によって異なりますので、検査を受けて自分のアレルゲンを知る必要があります。
【血液検査】
血液の中のアレルギー反応を起こす物質(lgE抗体)があるかどうか調べます。自分がアレルギー体質かどうか、アレルギー体質ならハウスダストやダニなどのアレルゲンに対するlgE抗体の有無を調べて原因を特定します。
【皮膚テスト】
皮膚にハウスダストやダニなどのアレルゲンエキスをたらし直接反応させます。プリックテストやスクラッチテストなどの方法があります。
【主な皮膚テスト】
プリックテスト | 皮膚にアレルゲンエキスをたらし、針で軽く引っかく(約15~20分後の皮膚反応を検査する) |
スクラッチテスト | プリックテストとほぼ同じ(約15~20分後の皮膚反応を検査する) |
皮内テスト | 皮膚にアレルゲンエキスを注射する(約15~20分後の皮膚反応を検査する) |
【点眼薬による治療】
ダニなどによる通年性アレルギー性結膜炎の治療には、主に点眼薬を使用します。
メディエーター遊離抑制薬
マスト細胞からアレルギー症状を引き起こす物質(ヒスタミンなどのメディエーター)が出ないようにする
ヒスタミンH1受容体拮抗薬
アレルギー症状を引き起こすヒスタミンが血管や神経にある受容体にくっつかないようにブロックし、目のかゆみや充血などの症状が出ないようにする
ステロイド薬
上記2種の点眼薬で効果が見られない時や重症の場合に使用する。副作用が見られることもあるので必ず専門医の指示を守って点眼し、使用期間中は定期的に眼科専門医を受診する。
【日常生活での注意点】
通年性アレルギー性結膜炎の場合は、点眼薬による治療だけでなく、室内環境を整えることが大切です。生活習慣の見直しや体調を整えるよう心掛けましょう。
室内環境の整備(ダニ対策):ダニが好む環境は気温20度~30度、湿度60%以上とされている | |
室内清掃 | 部屋は毎日掃除機をかける |
掃除機はゆっくりと丁寧にかける(1畳を1分が目安) | |
掃除機のゴミは頻繁に捨てる | |
寝具 | 晴れた日の天日干し。布団乾燥機、掃除機をかけてダニを除去 |
防ダニ加工されている寝具やカバーもまめに洗濯 | |
空気清浄機 | ダニは家庭用空気清浄機で除去できるので、積極的に使用。特に寝室 |
装飾品 | 畳、じゅうたん、カーテン、ソファ、ぬいぐるみ、環葉植物などのほこりが溜まる環境を減らす |
フローリングの床はほこりが溜まりやすいので床に物をあまり置かない | |
フローリングのハウスダストは拭き掃除が有効 | |
通気と除湿 | たんすやクローゼットなどの収納場所は通気や除湿を心掛ける |
ペット | ダニやペットがアレルゲンと特定された場合は室内でのペット飼育はやめる |
生活習慣の見直し | |
アルコール | アレルギーの症状悪化につながるので、症状があるときは控える |
睡眠 | 十分は睡眠をとるように心掛ける |
過労やストレス | 過労やストレスを避ける、発散する |
便通 | 適度な運動、バランスのとれた食生活を心掛け、便秘にならないようにする |